■三角形の対称関数(その25)

【1】対称式

 3変数多項式関数f(a,b,c)において,3!個の置換

  f(a,b,c)=f(b,a,c)=f(a,c,b)=f(b,c,a)=f(c,a,b)=f(c,b,a)

が成立するとき,対称式であるという.

 レムスの不等式: 三角形の3辺の長さを(a,b,c)とするとき,

  abc≧(a+b−c)(b+c−a)(c+a−b)

が成り立つ.等号はa=b=cのときに限る.

は,3次対称式

  a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2−6abc≧0

である.対称式を

  Σx,Σx^2,Σx^3,Σxy,Σx^2y,・・・

などで表すことにすると,レムスの不等式は

  (Σx)(Σxy)−9xyz≧0

となる.

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【2】巡回式

  f(a,b,c)=f(b,c,a)=f(c,a,b)

が成立するとき,巡回式という.対称式は巡回式であるが,逆は真ならず.

 たとえば,

  f(a,b,c)=a^2b+b^2c+c^2a

は対称式でない巡回式である.巡回式の場合はa≧b≧cと仮定する方法は使えないことになる.

 巡回式も

  Σx,Σx^2,Σx^3,Σxy,Σx^2y,・・・

などで表すことにすると,対称式と区別するためには

  Σ(3)x^2y=a^2b+b^2c+c^2a

  Σ(6)x^2y=a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2

あるいは

  S(2,1,0)=S2,1=a^2b+b^2c+c^2a

  T(2,1,0)=T2,1=a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2

  U(1,1,1)=U=abc

という記号を用いる.

  T2,1=a^2b+ab^2+b^2c+bc^2+c^2a+ca^2

 =ab(a+b)+bc(b+c)+ca(c+a)

 =a^2(b+c)+bー2(c+a)+c^2(a+b)

 =(a+b)(b+c)(c+a)−2abc

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