■三角形の対称関数(その10)
【1】和算におけるヘロンの公式
[参]小寺裕「関孝和・算聖の数学思潮」現代数学社
によると,三角形の内接円を考えて,3つの頂点から内接円への接線の長さをd,e,fとすると,
S=(def(d+e+f))^1/2
というのが和算におけるヘロンの公式の標準形らしい.
a=d+e,b=e+f,c=f+d
であるから,
s=d+e+f,
s−a=f,s−b=d,s−c=e
となって,ヘロンの公式
S=(s(s−a)(s−b)(s−c))^1/2,
と一致する.
S=(def(d+e+f))^1/2
の方が美しく感じられるのは私だけではないだろう.
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a=d+e,b=e+f,c=f+d
はRavi変換と呼ばれるもので、
たとえば、三角形の辺の長さは(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)<=abcを満たすは
(b+c-a)(c+a-b)(a+b-c)=8(s-a)(s-b)(s-c)=8def
abc=(x+y)(y+z)(z+x)より
8xyz<=(x+y)(y+z)(z+x)と同値になる
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