■結び目の体積(その12)
三角錐公式としてはサマーヴィルの公式やシュレーフリの公式が利用できることがわかった。
双曲空間のことも考え、虚の三角法を考えてみたい。
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【1】虚の三角法
 オイラーの公式(1748年)
  exp(iθ)=cosθ+isinθ
ド・モアブルの定理(1722年)
  (cosθ+isinθ)^n=cosnθ+isinnθ
などは虚(あるいは複素数)の三角法の公式と捉えることがができるであろう.
 複素数の世界では,z=x+iyとしたとき,
  sinz=sinxcoshy+icosxsinhy
  cosz=cosxcoshy−isinxsinhy
  expz=exp(x)cosy+iexp(x)siny
などのように書くことができる.
 sinz,coszが周期2πをもつこと
  sin(z+2π)=sinz
は複素数の世界でも同じであるが,一方,expzは虚の周期2πiをもつ.
  exp(z+2πi)=expz
 なお,平面正弦定理では,
  sinα:sinβ:sinγ=a/R:b/R:c/R
であるが,球面正弦定理は
  sinα:sinβ:sinγ=sin(a/R):sin(b/R):sin(c/R)
で表される.
 それに対して,双曲的三角法では,球面正弦定理のRをiRに置き換えることによって,
  sinα:sinβ:sinγ=sinh(a/R):sinh(b/R):sinh(c/R)
が得られる.
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