■空間分割の二項係数表現(その10)
n本の円は平面を最多で(n^2−n+2)の部分に分割する.5つの交わる円によって,平面は22の領域に分割される.22番目の領域は5つの円すべての外側であるから,この問題は以下の問題と等価である.
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(問)球面をn個の大円で分割する.その際,どの3個も同一点で交わらないとすると,球の表面はn^2−n+2個の領域に分割される.
(証)2個の大円は2点で交わるから,n個の大円の交点数は
2(n,2)=n^2−n
また,各交点の次数は4であるから,握手定理により,辺数は
2(n^2−n)
よって,オイラーの公式から,領域の個数はn^2−n+2となる.
S1=2,S2=4,S3=8,S4=14(四角形は6個),S5=22(三角形10個,四角形10個,五角形2個),・・・
この答えは
(問)1つの円をn本の弦で分割する.その際,分割によってできる領域が最も多くなるようにする.最大分割領域数Pnはいくつになるか?
(答)Pn=n(n+1)/2+1=(n^2+n+2)/2
P0=1,P1=2,P2=4,P3=7,・・・
とすると
Sn=2Pn-1
である.漸化式
Sn=Sn-1+2(n−1)
が成り立つ.
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実はこの問題も
(問)平面をn個の円で分割する.その際,どの3個も同一点で交わらないとすると,平面はn^2−n+2個の領域に分割される.
と等価になる.
交点数がn(n−1),交点が頂点で辺の数が2n(n−1)であるから,オイラーの公式により領域の個数は
f=e−v+2=n^2−n+2となる.
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(問)平面をn個の楕円で分割する.その際,どの3個も同一点で交わらないとすると,平面は2(n^2−n+1)個の領域に分割される.
(証)2個の大円は2点で交わるから,n個の大円の交点数は
4(n,2)=2(n^2−n)
また,各交点の次数は4であるから,握手定理により,辺数は
4(n^2−n)
よって,
f=e−v+2=2(n^2−n+1)
となる.
なお,漸化式
En=En-1+4(n−1)
が成り立つ.
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それでは
(問)1つの円環体(ドーナツ型)をn個の面で分割する.その際,分割によってできる領域が最も多くなるようにする.最大分割領域数はいくつになるか?
答えは
Sn=(n^3+3n^2+8n)/6
S1=2,S2=6,S3=13,S4=24,・・・
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