■球の一般化(その4)

 1次元から6次元までを具体的に書けば,

 

 Vn=2,π,4π/3,π2/2,8π2/15,π3/6

という具合に,πのべき乗は偶数次元になるたびに1つあがります.また,超球の体積はn=5のとき最大8π2/15=5.2637・・・となり,以後は減少します.(次元を整数に限らなければ5.256次元で最大となり,そのときの体積は5.277・・・である.)

 

 Vn-1がわかれば,Vnは漸化式:

  Vn/Vn-1=Γ(1/2)Γ{(n+1)/2}/Γ(n/2+1)=B(1/2,(n+1)/2)

によって求めることができますが,この計算は面倒ですから,Vn-2との漸化式

  Vn/Vn-2=2π/n

を用いると任意のnに対して

  nが奇数であれば,Vn=2(2π)^((n-1)/2)/n!!

  nが偶数であれば,Vn=(2π)^(n/2)/n!!

とも書けることも理解されます.

 

 そして,n→∞のとき,

  Vn/Vn-2=2π/n→0

  Sn-1/Sn-3=nVn/(n-2)Vn-2=2π/(n-2)→0

ですから,不思議なことに,単位球面の体積や表面積はn→∞のとき0に収束するのです.また,このことから,n次元単位超立方体[-1,1]^nにおいて,単位超球が占める比率は,n=2であればπ/4(79%)であるが,n=5のときは16%に下落し,n=10となると0.25%になることも理解されます.したがって,高次元において,超立方体内に一様分布する標本を考えるとき,低次元の場合とは対照的に,大部分のデータは超球外に位置することになります.また,ここで重要なのは,単位超球を超立方体中に置くと,次元が大きくなるにつれて隙間がより大きくなる点です.

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