■学会にて(京大数理解析研,その73)
「白銀比」「青銅比」は黄金比のある種の一般化である,周期長さ1をもつ周期的連分数として表すことのできる数として定義される.
τ+/-N=N±1/τ+/-N → x^2−Nx±1=0
より
τ+1=1+1/τ+1→t+1=φ
τ+2=2+1/τ+2→t+2=1+√2
τ-4=−4+1/τ-4→t-4=2+√3
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【1】おまけ
[Q]大長方形から正方形をa個切り取った後に残る中長方形から,正方形をb個切り取った後に残る小長方形が中長方形と相似になるのは?
[A]単純循環連分数
L=[a:b,b,b,b,・・・]
で表される数Lを求めてみることにしましょう.
L−a=R=[0:b,b,b,b,・・・]=1/(b+R)
R^2+bR−1=0 → R=(−b+(b^2+4)^(1/2))/2
L=a+R=a−b/2+(b^2/4+1)^(1/2)
a=1,b=1 → L=(1+√5)/2=[1;1,1,1,1,1,・・・]
a=1,b=2 → L=√2=[1;2,2,2,2,2,・・・]
a=2,b=4 → L=√5=[2;4,4,4,・・・]
[Q]大長方形から正方形をa個切り取った後に残る中長方形から,正方形をb個切り取り,さらに正方形をc個切り取った後に残る小長方形が中長方形と相似になるのは?
[A]同様に,2項が循環する連分数は
L=[a:b,c,b,c,・・・]
L−a=R=[0:b,c,b,c,・・・]=1/(b+1/(c+R))
bR^2+bcR−c=0 → R=(−c+(c^2+4c/b)^(1/2))/2
L=a−c/2+(c^2/4+c/b)^(1/2)
a=1,b=1,c=2 → L=√3=[1;1,2,1,2,1,2,・・・]
a=2,b=2,c=4 → L=√6=[2;2,4,2,4,2,・・・]
実数xの整数部分,小数部分を
x=[x]+{x}
で表します.同様に,連分数表示を整数部分と小数部分に分けます.
[a:b,b,b,b,・・・]=a+[0:b,b,b,b,・・・]=a+<b,b,b,b,・・・>
[a:b,c,b,c,・・・]=a+[0:b,c,b,c,・・・]=a+<b,c,b,c,・・・>
たとえば,小数部分<b,b,b,・・・>となる数をxとおくと,
x=1/(b+x) → x=(√(n^2+4)−n)/2
このように循環連分数は整数係数の2次方程式の解となります(ラグランジュの定理).
(√5−1)/2=[0:1,1,1,,1,・・・]
√2−1=[0:2,2,2,2,・・・]
(√13−3)/2=[0:3,3,3,3,・・・]
<1,1,1,・・・>=xはx=1/(1+x)の正の解(√5−1)/2に収束します.この近似分数は,フィボナッチ数列
a0=0,a1=1,an+2=an+an+1
1,2,3,5,8,13,・・・
の相隣る2項の比となります.
また,<2,2,2,・・・>=xはx=1/(2+x)の正の解√2−1に収束します.この近似分数は,数列
a0=1,a1=1,an+2=an+2an+1
1,2,6,12,29,70,・・・
の相隣る2項の比となります.この数列は√2−1の最良近似数列です.
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