■正多角形の作図法則(その88)

 Vesica Piscisを用いた正五角形の近似的作図法が知られている.コンパスと定規を用いて,正六角形と組み合わせることで,許容内の精確さの正五角形が得られるそうである.計算して確かめてみよう.

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【1】近似的な内接正5角形の作図

 円Oに内接する近似正5角形の作図の手順は

[1]直径ABを引く

[2]直径ABを5等分し,その等分点を1,2,・・・,4とする

[3]ABを1辺とする正三角形の頂点となる点Cを求める

[4]点Cと点3を結び,その延長と円が交わる点をDとする

[5]BDが正5角形の1辺の長さとなる

 点C(−√3,0),点7(1/5,0)を結ぶ直線は

  y=5√3・x−√3

x^2+y^2=1に代入すると

  x^2+75x^2−30x+3=1

  38x^2−15x+1=0

  x=(15+√73)/76=0.30979

 一方,

  cos(2π/9)=0.309018

と近似度は高いことがわかる.

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【2】Vesica Piscisを用いた近似的な内接正5角形の作図

[1]半径が等しく,その中心が互いの円周上にある4円が重なり合った共通部分の両端を点A(−1,0),点B(1,0)とする.ABが正5角形の1辺の長さとなる.

[2]点Aを中心とする円を第1円,点Bを中心とする円を第2円とする.

[3]第1円と第3円の交点が正六角形の頂点となる.点C(−2,−√3)とする.

[4]点Cと第3円上の点(0,2−√3)を通る直線と第2円の交点を点Dとすると,点A,B,Dが正五角形の3頂点となる.

 点C(−2,−√3),点(0,2−√3)を結ぶ直線は

  y=x+2−√3

(x−1)^2+y^2=4に代入すると

  x^2+(1−√3)x+2(1−√3)=0

  x=(√3−1+√(6√3−4)/2=1.90033

 一方,

  2cos(π/10)=√(2√5+10)/2=1.90211

と近似度は高いことがわかる.

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【3】Vesica Piscisを用いた近似的な内接正5角形の作図(その2)

[4]を「点Cと第3円上の点(0,2−√3)を通る直線と第4円の交点を点Dとすると,点A,B,Dが正五角形の3頂点となる.」としたらどうなるだろうか?

 点C(−2,−√3),点(0,2−√3)を結ぶ直線は

  y=x+2−√3

 x^2+(y−√3)^2=4に代入すると

  x^2+(1−√3)x+2(1−√3)^2−2=0

  x=(√3−1+√2(√3−1)=1.94205

となって,近似度が劣化する.

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