■エジプト三角形(その10)

 本シリーズでは,正接の加法公式

  tan(n+1)δ=(tanδ+tannδ)/(1−tanδtannδ)

が用いられているが,正接のn倍角公式は,パスカルの三角形を用いて,次のように書くことができる.

  tannα=(nC1tanα−nC3tan^3α+nC5tan^5α−・・・)/(nC0−nC2tan^2α+nC4tan^4α−・・・)

===================================

【1】パスカルの正接三角形

 分母・分子の係数は,2項係数の符号が対で交代するパスカルの正接三角形

            1

          1   1

        1   2   −1

      1   3   −3   −1

    1   4   −6   −4   1

  1   5  −10  −10   5   1

の形に並べることができる.

 ほとんどの教科書から消えてしまったが,美しい公式である.

===================================

【2】役に立たないかもしれない三角関数公式

 以下に,このような公式を紹介する.平面正弦定理では,

  sinα:sinβ:sinγ=a/R:b/R:c/R

であるが,球面正弦定理は

  sinα:sinβ:sinγ=sin(a/R):sin(b/R):sin(c/R)

で表される.

 それに対して,双曲的三角法では,球面正弦定理のRをiRに置き換えることによって,

  sinα:sinβ:sinγ=sinh(a/R):sinh(b/R):sinh(c/R)

が得られる.

===================================