■エジプト三角形(その5)

 (その4)では,加法公式

  tan(n+1)δ=(tanδ+tannδ)/(1−tanδtannδ)

を用いて,立方体を除く正多面体の二面角δ/πの無理数性を証明した

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【2】正八面体の場合

[Q]角δがtanδ=−2√2を満たすならば,δはπの有理数倍ではない.

[A]

  tanδ=−2√2

  tan2δ=4√2/7

  tan3δ=−10√2/23

  tan4δ=56√2/17

  tannδ=a√2/b

ならば

  tan(n+1)δ=(a−2b)√2/(b+4a)

  Z8=cosδ+isinδ=−1/3+i√8/3

  z+1/3=i√8/3

より,Z8は2次方程式3z^2+2z+3=0の解である.

 そこで,この分数の(a,b)=(−2,1)から出発して,(分子,分母)=(a−2b,b+4a)を(mod 3)でみると

  (−2,1)=(1,1)

  (−4,−7)=(2,2)

  (10,−23)=(1,1)

  (56,17)=(2,2)

の2ステップの繰り返しになることがわかる.したがって,a,bのどちらも0にはなり得ず,tannδ≠0,∞となる.

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