■モーリーの定理(その18)
ユークリッドは3つの角を2等分することで内心を見つけたのですが,モーリーは3つの角を3等分するとどうなるかを問題にして,モーリーの定理「任意の三角形において,各内角の3等分線の隣同士の交点を結んで得られる三角形は正三角形である」を発見しました(1899年).
モーリーの定理のような基本的事実が2000年という長い間見過ごされ,20世紀直前にいたるまで発見されなかった理由は,角の三等分の評判があまりにも悪名高く,まともに取り上げようとする数学者が皆無だったせいなのでしょう.しかし,角の三等分は作図できないにしても,三等分線そのものは確かに存在し別の方法を使えば作図できるのです.
その後,次々とモーリーの定理の証明が発表され,ロジャー・ペンローズやジョン・コンウェイのものを含めその数は150にもおよび,いまでも増え続けているそうです.三角形の幾何学は永遠に不滅なのです.
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モーリーは(各内角の3等分線でなく)三角形に内接するカージオイドの研究する過程で,この定理を発見しました.カージオイドの中心は正三角形を描き,中心が正三角形の頂点のとき,4点で接することがわかっています.
モーリーの三角形の1辺の長さは,
8R・sinα/3・sinβ/3・sinγ/3
で与えられます.
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