■Katachi(形)の話(その5)

【1】ジオデシック・ドームとダヴィンチ・ドーム

ジオデシック・ドームとは正十二面体や正二十面体の対称性をできるだけ保持させながら三角形で細分割し、球面を近似する線分の集まりで構成したドーム状構造物である。モントリオール万国博覧会のアメリカ館(1967)や富士山のレーダードーム(1964)が有名であるが、少ない材料で強度が保て広い空間が実現できることから、いまなお多くの熱烈愛好家(Fullerian)によって支持されている。一方、自己支持構造であるダヴィンチ・ドームを直線状の硬性構造材で作ろうとするとゆるい円弧にしかならない。球面状にするためには構造材そのものを円弧状にする必要がある。そのような球状構造物を近似的な測地線でなく、精確な大円弧(geodesic)からなる均質な構造材を鋲釘なしに組み上げることによって実現させた。いわば錦帯橋の球体版である。その試みについて紹介する。

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【2】球面三角法

半径1の球面(単位球面)上に3点A,B,Cがあり、それぞれが大円の弧で結ばれているものとする。球面三角形ABCの3辺の長さ(球面距離)をα,β,γで表すとそれぞれ大円の中心角となる。すなわち、単位球では球面距離を中心角と同一視できる。また、内角A,B,Cは大円同士が交わる面角の大きさである。球面三角法の公式は多数あるが、ここで用いるのは球面余弦定理:cosγ=cosα・cosβ+sinα・sinβ・cosCとその巡回置換、それに球面三角形ABCの面積Sを角過剰として表したS=A+B+C-πの2つだけである。n角形はn-3本の対角線によりn-2個の三角形に分割されるので、球面四角形と球面五角形ではそれぞれS=A+B+C+D-2π, S=A+B+C+D+E-3πとなる。

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