■隣り合う素数の間隔(その23)
【1】nと2nの間に素数がある
1845年にフランスの数学者ベルトランは任意の数nと2nの間には少なくとも一つの素数pが存在する(n<p≦2n),同じことですが素数pの次の素数は2pより小さい(pk+1 <2pk )という予想を立てました.
50年以上たって,ロシアの数学者チェビシェフがベルトランの仮説を証明しました.この証明は彼が実に18才のときだったそうですから,「栴檀は双葉よりの芳し」の諺のごとくです.チェビシェフの定理によって,素数の分布には何らかの秩序が存在していることになります.
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【1】チェビシェフの証明
ここではチェビシェフの定理「nと2nの間に素数がある」の初等的証明を紹介したい.
θ(x)=Σlogp
φ(x)=Σθ(x^1/n)
区間(x,2x],x≧37とする.この区間に素数が存在しなかれば,
θ(2x)=θ(x)
であるが,
1.46x≦θ(2x)=θ(x)≦1.13x
となり,矛盾.
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【2】ラマヌジャンの証明
φ(x)−2φ(√x)≦θ(x)≦φ(x)
φ(x)−φ(x/2)≦logx!−2log(x/2)!≦φ(x)−φ(x/2)+φ(x/3)
ここで,スターリングの公式より
2x/3<logx!−2log(x/2)!<3x/4
θ(x)−θ(x/2)>x/6−3√x
x>324に対して,x/6−3√x>0
x>162に対して,θ(2x)−θ(x)>0
x<162のばあいは容易に調べられるので,xと2xの間には素数が心材するというベルトラン仮説は成り立つことがわかる.
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