■増加整数列の平均(その2)

  |Ln|→2

はある多項式fn(x)のeにおける値fn(e)である.驚くことにこれは2に近づく.fn(2)→eならわかるが,fn(e)→2ということはあるのだろうか?

 増加列を減少列としても同じことであるから,この問題は対称多項式が関係しているに違いない.

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【1】対称多項式の拡張(D1)

 n次多項式:f(x)=a0x^n+a1x^(n-1)+・・・+an-1x+an

が関係式

  f(x)=f(-1-x)(-1)^n

を満たすとき,n次対称多項式と呼ぶことにします.

  0次対称多項式:f(x)=c(定数関数)

  1次対称多項式:f(x)=x+1/2,f(x)=ax+a/2

  2次対称多項式:f(x)=ax^2+ax+c

  n次対称多項式:f(x)=ax^n+a(1+x)^n

などはその例です.すなわち,xの代わりに−1−xを代入すると,nが奇数のとき符号が交代,nが偶数のとき交代しない関数が対称多項式です.

  f(x)=f(-1-x)(-1)^n

の両辺を微分すると

  f'(x)=f'(-1-x)(-1)^(n-1)

  f"(x)=f"(-1-x)(-1)^(n-2)

(n-k)次導関数も対称多項式になります.x=0とおくと,n次多項式:f(x)=a0x^n+a1x^(n-1)+・・・+an-1x+anが対称多項式であるための必要十分条件は

  f(k)(0)=f(k)(-1)(-1)^(n-k) (k=0~n)

が成り立つことであることがわかります.そのためには係数の間に関係式

  {1+(-1)^(k-1)}ak=Σ(n-i,n-k)ai(-1)^i (k=0~n)

が成り立たねばなりません.

 また,s次対称多項式Fs(x)を適当に選んで

  f(x)=ΣcsFn-s(x)

がn次対称多項式になるためにはc2k+1=0が成り立たねばなりません.

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[1]ベルヌーイ多項式

  B0(x)=1,B2k+1(0)=0,B's(x)=Bs-1(x)

を満たすs次対称多項式をベルヌーイ多項式Bs(x)として定義します.この条件より帰納的にBs(x)を求めることができます.

 また,文献によって定義の仕方が異なるのですが,ここではベルヌーイ数を

  Br=(2r)!(-1)^(r-1)B2r(0)

として定義します.たとえば,

  B1=1/6,B2=1/30,B3=1/42,B4=1/30,B5=5/66,B6=691/2730

[2]オイラー多項式Es(x)

  E0(x)=1/2,E2k(0)=0,E's(x)=Es-1(x)

を満たすs次対称多項式をオイラー多項式Es(x)として帰納的に定義します.また,タンジェント数を

  Tr=(2r-1)!2^2r(-1)^(r-1)E2r-1(0)

で定義しておきます.

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