■フィボナッチ数の整除性の問題(その3)
ロシア人のマチアセビッチにより,すべてのディオファントス方程式(不定方程式)の解の存否を判定するアルゴリズムが存在しないことが証明されています.一般に3変数以上のディオファントス方程式を解く有力な方法はまったく見つかっておらず,たとえば,x^3 +y^3 +z^3 −3=0が(1,1,1),(4,4,−5)とその並び換え以外の整数解をもつかどうかすらわかっていません.
この証明にはフィボナッチ数の整除性のアイディアを拡張したものが使われているそうです.
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【2】マチアセビッチの補題
マチアセビッチの補題とは「Fmが(Fn)^2の倍数であること」=「mがnFnの倍数であること」が同値であるというものです.
Fm=0 (mod Fn)であればm=knはわかっていますから,
Fkn=0 (mod Fn^2)
かどうかを調べてみます.
Fn≠0 (mod Fn^2)
Fn+1=Fn-1 (mod Fn)より
F2n=FnFn+1+Fn-1Fn=2FnFn+1 (mod Fn^2)
F2n+1=Fn+1^2+Fn^2=2Fn+1^2 (mod Fn^2)
F3n=F2nFn+1+F2n-1Fn=3Fn+1^2Fn (mod Fn^2)
F3n+1=F2n+1Fn+1+F2nFn=Fn+1^3 (mod Fn^2)
一般に,
Fkn=kFnFn+1^k-1,Fkn+1=Fn+1^k (mod Fn^2)
ここで,Fn+1とFnは互いに素であるから,
「Fkn=0 (mod Fn^2)」=「kFn=0 (mod Fn^2)」=「k=0 (mod Fn^2)」
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【補】1971年,旧ソ連のマチアセビッチは,素数全体をあるひとつのディオファントス方程式の解として表すことにも成功しています.すなわち,すべての素数をつくる式を生み出したことになるのですが,その式は37次で24個の変数をもつ多項式と21次で21個の変数をもつ多項式でした.これらの多項式は負の値もとり,また,素数は多項式の値として繰り返し出現します.
すべての素数をもれなくつくり,しかも素数以外はつくらない公式は知られていません.素数を完全に定義する式が存在することは証明されていませんし,存在しないともわかっていません.
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