■ほぼ正三角形のヘロン三角形(その2)

[Q]高さが12,底辺でない2辺の長さが13と15の三角形がある.三角形の底辺の長さを求めよ.

  [参]川勝健二・植松真人「楽しい数学」三樹書房

になかに登場する中学生の答えは

[A]12と13と15が並んでいて,足りないのは14.

 この問題はヘロンの三角形の問題であるが,江戸時代の本にも登場するらしい.

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【1】ヘロン三角形

 3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形は代表的かつ最小のピタゴラス三角形ですから,ピタゴラス三角形の大家族の元祖という意味で,エジプト三角形と呼ばれることもあります.すべてのピタゴラス三角形は整数の面積をもっています.

 三辺の長さと面積が整数である三角形をヘロン三角形といいますが,エジプト三角形は既約で,3辺の長さの公差が1の等差数列をなすヘロン三角形です.

 直角三角形でない三角形の中にもヘロン三角形は存在します.ヘロン三角形は2つのピタゴラス三角形を貼り合わせることで簡単に作ることができ,たとえば,直角三角形(5,12,13)と直角三角形(9,12,15)から三辺の長さが(13,14,15)で面積が84の鋭角三角形と三辺の長さが(4,13,15)で面積が24の鈍角三角形が得られます.

 一般に,3辺と面積が有理数であるようなすべての三角形は,有理数辺をもつ2つの直角三角形から合成されます.3辺がすべて有理数の直角三角形は適当な整数倍によってピタゴラス三角形になりますから,ヘロン三角形は広義のピラゴラス三角形から合成されるといってもよいでしょう.なお,直角三角形の面積は6の倍数ですが,それが平方数となる(a,b,c)は存在しません.

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【2】連続数のヘロン三角形

 (13,14,15)というヘロン三角形は,既約で,3辺の長さの公差が1の等差数列であって,元祖(3,4,5)についで興味深いものである.その次に大きいのが(51,52,53)である.

 a<b<cとしても一般性を失わない,

  a=b−1,c=b+1

また,bを底辺としたときの高さをhとすると,三角形の面積は

  S=bh/2,S^2=b^2h^2/4

 ヘロンの公式より,2s=a+b+cとすると,三角形の面積は

  S^2=s(s−a)(s−b)(s−c)

 =(2a^2b^2+2b^2c^2+2c^2a^2−a^4−b^4−c^4)/16

 =(a+b+c)(−a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)/16

 =3b^2(b^2−4)/16

 これより

  4h^2=3(b^2−4)

ここで,b=2mとおくと,

  h^2=3(m^2−1)

であるから,ペル方程式h^2−3m^2=−3というペル方程式に帰着される.

 これを解くと

  (a,b,c)=(3,4,5),(13,14,15),(51,52,53),(193,194,195),(723,724,725),(2701,2702,2703),・・・が得られる.

 また,b,h,mについては漸化式

  an=4an-1−an-2

a,cについては漸化式

  an=5an-1−5an-2+an-3

Sについては漸化式

  an=14an-1−an-2

が得られる.

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