■フリーズの幾何学(その32)

有理数p/qに対応するフォード円は、直径が1/q^2であって、数直線のp/qにおいて接する円である。

一方、分母が高々dの有理数からなる数列を位数dのファレイ数列といい、その各項は高さが1/d^2以上1/(d+1)^2未満の任意の水平線と交わるフォード円と対応している。

位数4のファレイ数列は[0/1,1/4,1/3,1/2,2/3,3/4,1/1]であることが分かる

また、これよりディオファントス近似に関する定理

|α-p/q|<1/2q^2を満たすものが無数に存在することも理解される

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【3】等角同値

 フォードの円列では群PSL(2,Z),すなわち,上半平面から上半平面への写像

  z → (az+b)/(cz+d)

  a,b,c,dは整数,ad−bc=1

全体のなす群を考えたが,群SL(2,Z)とGL(2,Z)の有理数への作用は,たとえば,等角写像

  z → (z−i)/(z+i)

により上半平面からポアンカレ円板に写して考えると,ユークリッド幾何学的なフォードの円は双曲幾何学的な円板の境界に接する円となる.

 アポロニウスのガスケットは自己相似性をもつ図形であるが,2つのアポロニウスのガスケットは1次分数変換で写り合う等角同値な図形でもあることになる.

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