■ガウス曲率とリーマン曲率(その1)

 リーマンが幾何学に関するアイデアを本腰を入れて練りはじめる出発点としたのはガウスがとりわけ誇りにしていた「驚異の定理」=曲面の形をその周囲の空間とは関係なしに特定できるというものであった。

ガウスはそこから2点間の最短経路(測地戦)や曲率の研究を進めた。

リーマンはこれらの概念を高次元に一般化させること(多様体)をもくろんだ。そして、何十年かのちにアインシュタインが相対論を導くきっかけとなったと同じ、力を空間のゆがみに置き換える「計量」によって定義される距離の概念を手掛かりに現代微分幾何学の基礎を確立した。計量とはきわめて近い2点間の距離を与える数式のことで、テンソルとして曲率を与える一般的な公式を導き、測地戦を定義する微分方程式を書き下した。

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