■3次元多様体におけるポアンカレ予想(その1)

 ポアンカレ予想とは、あらゆるループを点に縮められるという単純なトポロジー的性質によって、3次元球面を特徴づけるというものであった。

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【1】高次元位相的ポアンカレ予想

 n次元球面に対して,単連結でホモロジー群がn次元球面と等しいならば同相か?

[1]n≧7のとき,この予想は正しい(スメール,1961年)

[2]n=6のとき,この予想は正しい(スターリング)

[3]n=5のとき,この予想は正しい(ジーマン)

しかし、それらの証明法は3次元と4次元には通用せず、フリードマンはまったく異なる方法を使って

[4]n=4のとき,この予想は正しい(フリードマン,1982年)

しかし、その方法でも3次元の場合には何の手掛かりも得られなかった。そこにサーストンが登場し、この分野全体をひっくり返すことになった。サーストンはそれを証明できなかったが、何年かのちにその発想をヒントに

[5]n=3のとき,この予想は正しい(ペレルマン,2003年)

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サーストンは、球面の自然な幾何は楕円幾何、トーラスの自然な幾何はユークリッド幾何、穴を2つ以上持つトーラスの自然な幾何はすべて双曲であることから

3次元多様体には理にかなった幾何が8種類あるという幾何化予想を提唱した(1982年)。

ハミルトンはリッチフロー(重力は空間のゆがみの影響であるとする一般相対論に関係した概念)を使えばポアンカレ予想を単純な形で証明できると考えた。

ペレルマンはポアンカレ予想と幾何化予想の両方を証明できる方法を見つけたのであった。

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