■ヘロンの公式(その21)

 ブラーマグプタの公式を証明しておきたい.

 四角形の4辺の長さをa,b,c,d,内角をα,β,γ,δとする.ここで,2s=a+b+cとおくと,四角形の面積は

  S^2=(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)−abcd(1+cos(β+δ))/2

となる.

 この定理でd→0とすると,三角形のヘロンの公式

  Δ^2=s(s−a)(s−b)(s−c)

が得られる.

 また,四角形が円に内接するとき,β+δ=π,cos(β+δ)=−1より,面積は最大となり

  S^2=(s−a)(s−b)(s−c)(s−d)

が成り立つ.

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【1】和算におけるヘロンの公式

  [参]小寺裕「関孝和・算聖の数学思潮」現代数学社

によると,三角形の内接円を考えて,3つの頂点から内接円への接線の長さをd,e,fとすると,

  S=(def(d+e+f))^1/2

というのが和算におけるヘロンの公式の標準形らしい.

  a=d+e,b=e+f,c=f+d

であるから,

  s=d+e+f,

  s−a=f,s−b=d,s−c=e

となって,ヘロンの公式

  S=(s(s−a)(s−b)(s−c))^1/2,

と一致する.

  S=(def(d+e+f))^1/2

の方が美しく感じられるのは私だけではないだろう.

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