■ヘロンの公式(その15)
(その14)を補足しておきたい.
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[1]辺の長さの与えられた円に内接するn角形→面積
三角形の面積は,ヘロンの公式
S=(s(s−a)(s−b)(s−c))^1/2,
s=(a+b+c)/2
で求めることができる.
4辺の長さを与えてもその形は決まらないので,そのような公式は期待できないが,四角形が円に内接するとき,面積は最大値をとり,ブラーマグプタの公式
S=((s−a)(s−b)(s−c)(s−d))^1/2,
s=(a+b+c+d)/2
が成り立つ.
n(≧5)角形では公式は存在しない.
[2]辺の長さの与えられた円に内接するn角形→外接円の半径
三角形:R=abc/{2(a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2)−(a^4+b^4+c^4)}^1/2
四角形:R^2=(ab+cd)(ad+bc)(ac+bd)/(b+c+d−a)(a+c+d−b)(a+b+d−c)(a+b+c−d)
三角形,四角形に比べて,n(≧5)角形では飛躍的に複雑な方程式になる.
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[3]辺の長さの与えられた円に外接するn角形→内接円の半径と面積
三角形の内接円の半径と面積は
r=(def/(d+e+f))^1/2
S=1/2・2(d+e+f)・r
四角形の内接円の半径と面積は
r={(efg+fgh+ghe+heg)/(e+f+g+h)}^1/2
S=1/2・2(e+f+g+h)・r
面積はrがわかれば計算可能である. 五角形が内接円をもつ場合は,
S=1/2・2(f+g+h+i+j)・r
一方,内接円の半径rに関する代数方程式が存在する.五角形の内接円の半径rは
(f+g+h+i+j)r^4−Ar^2+fghij=0
Aは(fgh+ghi+hij+ijf+jfg)ではなく,5個から3個をとったすべての組み合わせの10項となる.
六角形の内接円の半径rは
(f+g+h+i+j+k)r^4−Ar^2+B=0
Aは6個から3個をとったすべての組み合わせの20項となる.
Bは6個から5個をとったすべての組み合わせの6項となる.
B=fghij+fghik+fghjk+fgijk+fhijk+ghijk
この代数方程式はrについての(r^2についての)
三角形・四角形:2次(1次)
五角形・六角形:4次(2次)
七角形・八角形:6次(3次)
九角形・十角形:8次(4次)
11角形・12角形:10次(5次)
方程式になる.
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