■ヘロンの公式(その10)
練習問題が済んだところで,本題,
[Q]円に内接する五角形や六角形についても同様の公式はあるのだろうか?
に移ってみたい.五角形の場合を扱うが,もちろん,辺は等辺ではない一般の五角形を扱う.
(その6)でおこなったように,5辺の長さをAB=a,BC=b,CD=c,DE=d,EA=e,AC=x,AD=y,∠ABC=θ,∠ADC=π−θとおく.
(その6)では余弦定理を用いたが,余弦定理よりもトレミーの定理
「円に内接する四角形の相対する辺の長さの積の和=対角線の積
AB・CD+AD・BC=AC・BD」
を活用した方が簡単かもしれないが,いまのところわからない.
あとは,ヘロンの公式S=(s(s−a)(s−b)(s−c))^1/2,また,四角形が円に内接するとき,面積は最大値をとり,ブラーマグプタの公式S=((s−a)(s−b)(s−c)(s−d))^1/2 (d=0のときヘロンの公式になる)を利用する.
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S=S1+S2
S1=(s1(s1−a)(s1−b)(s1−x))^1/2,s1=(a+b+x)/2
=1/4(((a+b)^2−x^2)(x^2−(a−b)^2))^1/2
S2=((s2−c)(s2−d)(s2−e)(s2−x))^1/2,s2=(c+d+e+x)/2
=1/4(((d+e)^2−(x−c)^2)((x+c)^2−(d−e)^2))^1/2
余弦定理より
x^2=a^2+b^2−2abcosθ
=y^2+c^2−2yccos(π−θ)=y^2+c^2+2yccosθ
cosθを消去すると
→x^2={(a^2+b^2)cy+(y^2+c^2)ab/(ab+cy)
同様に,
→y^2={(x^2+c^2)de+(d^2+e^2)cx/(cx+de)
この2式からyを消去すると,yについての7次方程式が得られるが,a=bとすると2重根x=0を与える.しかし,x=0は対角線の長さではないから,a=bとして次数を5次方程式に下げることができる.
cdex^5+(c^2d^2+d^2e^2+e^2c^2−a^4)x^4+cde(c^2+d^2+e^2−4a^2)x^3+(c^2d^2e^2(c^2+d^2+e^2)−4a^2(c^2d^2+d^2e^2))x^2+4a^2cde(2a^2−c^2−d^2−e^2)x+a^2(4a^2(c^2d^2+d^2e^2+e^2c^2)−4c^2d^2e^2−a^2(c^2+d^2+e^2)^2)=0
また,S=S1+S2→S^2+S1^2−S2^2=2SS1は
2(a^2+b^2−c^2−d^2−e^2)x^2−8cdex+16S^2−(a^4+b^4−c^4−d^4−e^4)+2(a^2b^2−c^2d^2−d^2e^2−e^2c^2)=8S{−x^4+2(a^2+b^2)x^2−(a^2−b^2)^2}^1/2
これをさらに平方した式をSについてみると,Sはxについての4次方程式,また,外接円の半径をRとすると
S1=abx/4R
より,SはRについての2次方程式となる.
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