■ヘロンの公式(その9)

[1]n=9のとき

 余弦定理よりもトレミーの定理

  「円に内接する四角形の相対する辺の長さの積の和=対角線の積

     AB・CD+AD・BC=AC・BD」

を活用した方が簡単と思います.正7角形も同様と思いますが,正9角形は次の通り簡単にできます.

 3つとびの対角線zは円に内接する正三角形の1辺に等しいのでz=√3.x^2y^2z^2w^2=9から,xyw=√3・・・(1)

2x^2+2y^2+2z^2+2w^2=18から,x^2+y^2+w^2=6・・・(2)

 トレミーの定理から多数の(独立でない)条件式がでるが,P1P2P4P5という内接四角形より,x^2+yw=z^2=3・・・(3)

(1)を代入してx^2+√3/x=3,すなわち

  x^3−3x+√3=0

がでます.これは有理数の範囲で因数分解できず,2次方程式に帰着されないので、定規とコンパスで作図できません.

 なお,x=2sinπ/9=0.684040286・・・が,x^3−3x+√3=0の解であることを確かめました.トレミーの定理から他にも

  xz+x^2=y^2,y^2+yz=w^2,xy+xw=yz=√3y

などがでますのでy,wもいろいろ表現できると思います.

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[2]n=7のとき

 基本等式:xyz=√7,x^2+y^2+z^2=7

 トレミーの定理から(独立ではないが)

  x^2+xz=y^2 → x^2+√7/y=y^2

  x^2+yz=z^2

  y^2+xy=z^2

  xy+xz=yz → これから有名な等式:1/x=1/y+1/zがでる.

 トレミーの定理の和から,

  3x^2+xz+yz=x^2+y^2+z^2=7

  7=3x^2+√7(1/x+1/y)=2x^2+y^2+√7/x

これから,

  y^2=7−2x^2−√7/xと√7−3x^2/√7−1/x=1/y

を作れば,積からxだけの式

  (7−2x^2−√7/x)(√7−3x^2/√7−1/x)^2=1

を得る.これはxの9次方程式になる.

 別の考え方として,

  x^2=y^2−√7/yと7=3x^2+√7(1/x+1/y)=3y^2−2√7/y+√7/x

からxを消去して,

  (y^2−√7/y)((√7−3y^2/√7−2/y)^2=1

というyの方程式もできる.これもyの9次方程式.

 もうひとつ別の考え方.x^2+y^2=7−z^2,2xy=2√7/zから

  (y−x)^2=x^2+y^2−2xy=7−z^2−2√7/z

一方,トレミーの式の差で

  yz−xz=z^2−y^2=xy=√7/z

  y−z=√7/z^2   (1/x=1/y+1/zからもでる)

これから,

  7−z^2−2√7/z=7/z^4となって,zの6次方程式

  z^6−7z^4+2√7z^3+7=0

を得る.

 最終的にx,y,zは3次方程式に還元されることが予測される.上記の6次方程式はガロア群が可解でない(?).ともかく2次方程式では解けそうもないが「解けない」ことを厳密に示すにもう一工夫いる.

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