■四元数を用いた鏡映と回転(その9)

  ω=(1+i+j+k)/2

は,

  ω^2=(−1+i+j+k)/2

  ω^3=−1

  ω^4=−(1+i+j+k)/2

  ω^5=(1−i−j−k)/2

  ω^6=1

より1の原始6乗根であり,ωは4次元空間内の60°回転に対応していると考えることができる.

 また,四元数ω=(1+i+j+k)/2は単位四元数であり,軸n周りのθ回転は単位四元数

  q=(cosθ/2,sinθ/2n)

で表せるから

  θ/2=π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)

すなわち,(1,1,1)方向を軸とする120°回転に対応している.

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【1】正四面体の対称性と正24胞体

 以上のことより,立方体の向かい合う面の中心を通る直線を,i軸・j軸・k軸とみなすと,正四面体の12の対称性を四元数の点の集合として表現することができる.

[1]回転軸

  λi+μj+νk

はOの回りに角θだけ回転する場合,空間の回転は四元数

  cos(θ/2)+(λi+μj+νk)sin(θ/2)

によって表される.

[2]1/2回転(θ=πならばθ/2=π/2)なので,

  λi+μj+νk

したがって,i軸・j軸・k軸回りの回転はそれぞれi,j,k自身によって表現される.

[3]同様に,

  ω^2=(−1+i+j+k)/2

はθ/2=2π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする240°回転,

  ω^4=−(1+i+j+k)/2

はθ/2=−π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする−120°回転,

  ω^5=(1−i−j−k)/2

はθ/2=−π/3,n=(1/√3,1/√3,1/√3)より(1,1,1)方向を軸とする−120°回転.

  q=±1

はθ/2=±π,n=(0,0,0)より無回転(恒等写像)であるが,

  q=±i

はθ/2=±π/2,n=(1,0,0)より(1,0,0)方向=x軸を軸とする±90°回転に対応している.

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