■五次方程式が根の公式を使って解けないこと(その51)
4文字1,2,3,4の置換全体のなす群が4次対称群S4で,その位数は4!=24です.S4は2つの生成元a,bによって生成され,基本関係式は
a^3=b^4=(ab)^2=1
となります.
S4の場合,正方形ではなく正四面体を幾何学的にイメージすることになるのですが,互換は正四面体の回転として捉えることはできず,鏡映変換を必要とします.
S3同様,S4は回転と互換の両方を含んでいるのですが,互換を含めて空間的な回転だけでS4を表現するには,立方体の4本の対角線あるいは正八面体の向かい合う面の中心を結ぶ4本の線分を使うことになります.
S4は立方体あるいは正八面体の回転対称性であり,S4の偶置換からなる部分群A4は正四面体の回転対称性を表すのですが,4次交代群A4のの基本関係式は
a^3=b^3=(ab)^2=1
となります.しかし,S4の位数は4!=24,群表は24×24,A4の位数は4!/2=12,群表は12×12になるので,大きすぎてここでは紹介できません.
S4もA4も非可換なのですが,A4のなかに可換な部分群V(位数4)が含まれています.Vは可換群ではあるが巡回群C4ではありません.実はD2=C2×C2なのですが,これについては後述することにします.ともあれ,可解鎖
S4>A4>{Id,V}>{Id}
よりS4は可解群であることがわかります.このように可換な不変部分群を見つけることで,4次方程式を3次方程式に還元することが可能になるのです.
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