■五次方程式が根の公式を使って解けないこと(その47)
√2+√3を解とする最小多項式は
x=√2+√3
x^2=5+2√6
x^2-5=2√6
x^4-10x^2+25=24
x^4-10x^2+1=0
より、x^4-10x^2+1で与えられる。
Q(√2+√3)=Q(√2,√3)でありその拡大次数は4である。
|Q(√2,√3):Q|=4
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[1]方程式x^2−2=0
方程式x^2−2=(x+√2)(x−√2)=0の根√2は有理数体Qには含まれない.これを含む最小の数体は2次体
Q(√2)={a+b√2|a,bは有理数}
であり,Q(√2)は四則演算で閉じている.
一般に,2の代わりに平方数でない整数dから始めれば,2次体
Q(√d)={a+b√d|a,bは有理数}
が得られる.d>0の場合を実2次体,d<0の場合を虚2次体という.
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[2]方程式x^4+1=0
x^4+1は有理数係数の多項式の積に因数分解することはできないが,Q(√2)の数を係数として認めれば,2次式の積に分解される.
x^4+1=x^4+2x^2+1−2x^2=(x^2+√2x+1)(x^2−√2x+1)
さらに,2次方程式の根の公式から,
x=(±√2±√(−2))/2
が得られ,x^4+1は数体Q(√2,√(−2))に係数をもつ1次式の積に完全に分解される.
たとえば,ひとつの根をα=(√2+√(−2))/2とおけば,
(±√2+√(−2))/2・(±√2−√(−2))/2=1
であるから,4つの根はα,α^-1,−α,−α^1と表される.
α+α^-1=√2,α−α^-1=√(−2)
であるから,結局,Q(α)=Q(√2,√(−2))である.
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[3]方程式x^3−2=0
方程式x^3−2=0の実根を3√2で表すとき,3根は
3√2,ω3√2,ω^23√2 (ω=(−1+√−3)/2)
で表される.
純3次体
Q(3√2)={a+b3√2+c(3√2)^2|a,bは有理数}
は他の二つの根を含んでいないという点において,Q(√2)やQ(√2,√(−2))とは異なっている.
x^3−2=(x−3√2)(x^2−3√2x+(3√2)^2)
を完全に分解するためには,Q(3√2,3√2ω)=Q(3√2,ω)=Q(3√2,√(−3))まで係数を広げなければならない.
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[4]方程式f(x)=x^3−(s−3)x^2−sx−1=0
この方程式の実根をαで表すとき,数体
Q(α)={a+bα+cα^2|a,bは有理数}
は他の二つの根を含んでいる.
f(−1/(x+1))=(−1/(x+1))^3f(x)
したがって,f(α)=0であれば,f(−1/(α+1))=0.さらにx=−1/(α+1)を−1/(x+1)に代入すれば,f(−(α+1)/α)=0.さらにx=−(α+1)/αを−1/(x+1)に代入すれば,f(α)=0に戻るので,Q(α)は巡回3次体と呼ばれる.
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[5]方程式f(x)=x^3+bx+c=0
3次方程式の根の公式より,根を
α=(−c/2+((−c/2)^2+(b/3)^3)^1/2)^1/3+(−c/2−((−c/2)^2+(b/3)^3)^1/2)^1/3
で表す.
x^3+bx+c=(x−α)(x^2+αx+α^2+b)
より,他の2根は
−α/2±(−(3α^2+4b)^1/2/2
となる.
f(x)=x^3+bx+c=0に対して
D(f)=6^2((−c/2)^2+(b/3)^3)=ー(4b^3+27c^2)を判別式といい,D(f)=0はこの3次方程式が重根をもつための必要十分条件である.また,
((−c/2)^2+(b/3)^3)}^1/2
が虚数のとき,f(x)=0は相異なる3実根をもつが,これはD(f)>0と同値である.
一般の3次多項式の最小分解体を得るには,2次体
Q((−c/2)^2+(b/3)^3)^1/2)とQ(ω)=Q(√(−3))
が必要になるが,もっと直接的に
Q(α,{−3((−c/2)^2+(b/3)^3)}^1/2)
−3((−c/2)^2+(b/3)^3)=−(3α^2+4b)((3α^2+b)/6)^2
{−3((−c/2)^2+(b/3)^3)}^1/2=±(3α^2+b)/6{−(3α^2+4b)}^1/2
この3次体が巡回3次体であるための必要十分条件は
−3((−c/2)^2+(b/3)^3)
が,Qのなかで平方数になっていることである.
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