■五次方程式が根の公式を使って解けないこと(その45)

角の3等分方程式x^3-3x+1=0に引き続き、ここでは立方体倍積問題

x^3-2=0

を考える。この方程式は実数解3√2

共役な複素数解3√2ω、3√2ω^2をもっている

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3つの解をa,b,cとする。

差積(a-b)(a-c)(b-c)=+/-(4p^3-27q^2)^1/2=+/-6√3i

これは有理数ではないから、ガロア群に含まれる置換は差積を変化させるはずである。

したがって

〇(bac),(acb),(cba)

×(abc),(bca),(cab)

しかし、正解は自明でない正規部分群をもち、この方程式のガロア群は

〇(bac),(acb),(cba)

〇(abc),(bca),(cab)

である。

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  D(f)=a0^(2n-2)Δ^2=0

ジラールの標準形であれば,判別式は簡単な形で表される.

 f(x)=x^3+px+qの判別式は

  D=−(4p^3+27q^2)

 f(x)=x^n+px+qの判別式は

  D=(-1)^(n(n-1)/2){(-n+1)^(n-1)p^n+n^nq^(n-1)}

 また,fの次数が高い場合の判別式は,重根をもつことは判定できても,実係数2次方程式のように実根,虚根,重根の判別ができるわけではない.たとえば,実係数3次方程式では,

 (H1)異なる3つの実数解をもつ

 (H2)3つの実数解をもつが重根が入っている

 (H3)1つの実数解と1組の共約な虚数解をもつ

のいずれかであるが,D>0ならばH1,D=0ならばH2,D<0ならばH3である.また,3重解をもつための必要十分条件はD=0,b^2−3ac=0である.

 4次以上の実係数方程式の場合は

  D=0:重根をもつ

  D>0:偶数組の共約な虚数解をもつ(重根はない)

  D<0:奇数組の共約な虚数解をもつ(重根はない)

であり,D=0は重根をもつための必要十分条件であっても,実根,虚根の判別ができるわけではないのである.

 代数方程式が重根をもつための条件は判別式=0であるということであり,それが判別式の本来の意味である.実係数の2次,3次方程式では判別式の符号で実根の個数を判定することができるが,それは低次のときの特殊性に過ぎないのである.

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重解をもたない3次方程式の解の置換は6個ある

解が3個とも有理数の場合、2次方程式のガロア群は恒等置換のみ

解aだけが有理数、残りの2解b,cが有理数でない場合、2次方程式のガロア群は恒等置換と置換(bc)の2個からなる

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方程式のガロア群が恒等置換のみからなる方程式はすべての解が有理数である。

逆も成り立ち、

方程式のすべての解が有理数であるならば、ガロア群は恒等置換のみからなる。

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