■フェルマーの最終定理と有限体(その27)

【6】拡大体Fp^nにおける解の個数N(n)

 フェルマーの問題を拡張する方向としては,一つには指数を大きくすること,

  x^3+y^3=z^3 → x^m+y^m=z^m

もう一つには有限体の位数を増すこと,

  Fp → Fq=Fp^n (Fpのn次拡大体:q=p^n)

の2つの方向が考えられますが,ここでは後者について考えてみることにします.すなわち,この節で取り扱う範囲は

  m\n 1 2 3 4 5 ・・・

  1   ○ ○ ○ ○ ○

  2   ○ ○ ○ ○ ○

  3   ○ ○ ○ ○ ○

  5   × × × × ×

  7   × × × × ×

ということになります.

 Fp^nの0でない元の全体は,位数p^n−1の乗法群をなします.この群のすべての元は

  f(x)=x^(p^n-1)−1=0,すなわち,x^(p^n)=x

を満たします.また,

  (x+y)^p=x^p+y^p  (和のp乗はp乗の和)

  (xy)^p=x^py^p    (積のp乗はp乗の積)

ですから,p乗の算法は体をなしています.一般に,

  {f(x)}^p=f(x^p)

が成立します.

[注]誤解を避けるために申し添えておきますが,たとえば,

  Z/9Z={0,1,2,3,4,5,6,7,8}

(一般にZ/p^nZ)では,有限環とはなっても有限体にはなりません.n≧2ならば,Fp^nとZ/p^nZはまったく違うものなのです.

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