■フェルマーの最終定理と有限体(その20)
今回のコラムでは、有限体上のフェルマー曲線について調べてみることにしました.
『x^n+y^n=z^nはn≧3のとき正の整数解をもたない.』というのが有名なフェルマー・ワイルズの定理(1994年)です.ワイルズはちょうど40才のときにフェルマーの最終定理を証明し,世界一有名な数学の未解決問題を解決しました.
しかし,これが解をもつといったら驚かれるかもしれませんね.もちろんこれは架空の話ではありますが,modpの世界,すなわち,
Fp={0,1,,・・・,p−2,p−1}
なる有限体上で考えてみると実際に解をもちますし,そこでは解の存在より解の個数の方が問題になるのです.
とはいってもすべてのnについて計算することはできませんから,
x^3+y^3=z^3
に限定することになるのですが・・・.
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フェルマーの問題:x^n+y^n=z^nを有限体Fp上で考えてみましょう.ただし,(x,y,z)=(0,0,0)は除外することにします.
また,(x,y,z)が解ならば(tx,ty,tz)も解なので,
(x,y,z)=(2x,2y,2z)=・・・=((p-1)x,(p-1)y,(p-1)z)
よりp−1個の点は同じ点とみなすことができます.
すなわち,有限射影平面P^2(Fp)で考えることになるのですが,有限射影平面についてはコラム「群と魔方陣」「球の充填と格子」でも説明したとおりですので省略します.また,解の個数イコール
{(x,y,z)|x^n+y^n=z^n,x,y,zはFpに属する}
をみたすP^2(Fp)の点の個数をNpと書くことにします.
[1]フェルマーの問題はn=1のときにはx+y=zという単なる足し算ですから,xとyにどんな自然数を入れても自然数zは必ず存在します.この問題を有限体Fp上で考えるとxはp通り,yもp通りでzは必ず存在しますから,全部でp^2通り,それから(0,0,0)を除いてp^2−1通り.同じものがp−1組ありますから,
Np=(p^2−1)/(p−1)=p+1
が答えになります.
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