■ビュフォンの針の問題(その28)

 

 nが整数のとき,実際にVnの値を計算してみると,超球の体積はn=5のとき最大8π2/15=5.2637・・・となり,以後は減少します.

 

1次元  2次元  3次元  4次元  5次元  6次元

 2    3.14   4.19   4.93   5.263   5.167

(次元を整数に限らなければ5.256次元で最大となり,そのときの体積は5.277・・・である.)

 

Vn-1がわかれば,Vnは漸化式:

Vn/Vn-1=Γ(1/2)Γ{(n+1)/2}/Γ(n/2+1)=B(1/2,(n+1)/2)

によって求めることができますが,この計算は面倒ですから,Vn-2との漸化式

Vn/Vn-2=2π/n

を用いると任意のnに対して

nが奇数であればVn=2(2π)^((n-1)/2)/n!!

nが偶数であればVn=(2π)^(n/2)/n!!

とも書けることも理解されます.

n→∞のとき

Vn/Vn-2=2π/n→0

Sn-1/Sn-3=nVn/(n-2)Vn-2=2π/(n-2)→0

ですから,不思議なことに,単位球面の体積や表面積はn→∞のとき0に収束するのです.また,このことから,n次元単位超立方体[-1,1]^nにおいて,単位超球が占める比率は,n=2であればπ/4(79%)であるが,n=5のときは16%に下落し,n=10となると0.25%になることも理解されます.高次元において,超立方体内に一様分布する標本を考えるとき,低次元の場合とは対照的に,大部分のデータは超球外に位置することになります.

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