■等時曲線(その3)
【振り子の等時性とサイクロイド】
ガリレオ・ガリレイは16世紀の終わりにピサの斜塔で有名な落体の実験を試みましたが,さらに大聖堂のシャンデリアの動きから振子の等時性を発見しています.
糸の長さlに質量mの錘のついた振り子の運動方程式は,
mldθ2 /d2 t=−mgsinθ
で表されますが,
sinθ=θ−1/3!θ3 +1/5!θ5 −・・・
より,小さな振幅に限るとsinθ≒θとしてよいので
mldθ2 /d2 t=−mgθ
となります.この方程式は線形なので解くことができ,周期
T=2π√l/g
が得られます.したがって,周期はl=25cmで約1秒,l=1mで約2秒となり,振幅には拠りません.
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これが有名な「振り子の等時性」ですが,この現象は振幅が小さい場合に限って成立します.しかし,振幅が大きいと,復元力はsinθに比例し,積分は楕円積分となります.その場合の周期として
T=4√(l/g)K(k)
が得られますが,この式は振幅が小さいとき
T〜2π√(l/g)
と近似されます.
現実には振幅はそれ程小さくなく,無視できない差が生じます.周期が振幅に依存しない正確に等時性をもった振り子が作るには,振幅角が大きいとき振子の長さを短くすればよいのですが,等時性からのずれを補正するためにサイクロイドの縮閉線を利用します.サイクロイドとは,固定した直線上を円が滑らずに転がるとき,回転円上の固定点のなす軌跡で,その縮閉線はもとのサイクロイドと合同なサイクロイドになります.
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サイクロイドにはいくつかの興味深い特性があります.
(1)等時曲線
ホイヘンスはサイクロイドが等時曲線であることを発見しました.等時曲線であるサイクロイドを用いると,周期が振幅に依存しない正確に等時性をもった振り子が作れます.サイクロイド振り子の周期は,回転円の半径をrとすると
T=4π√r/g
です.
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