■フィボナッチ数列とトリボナッチ数列(その10)
【3】ペラン数列
フィボナッチ数列では正方形をらせん状に並べましたが,ここでは正三角形をらせん状に並べてみましょう.最初の3つの正三角形は1辺の長さを1,次の2つは1辺の長さが2で,そのあとは3,4,5,7,9,12,16,21,・・・.このようにしてもおおよそ対数らせんを描きます.
数列
1,1,1,2,2,3,4,5,7,9,12,16,21,・・・
は直前の1項を除いたその前の2項を加えたものです.パドヴァンの数列と呼ぶことにしますが,漸化式は
Pn=Pn-2+Pn-3 (P0=P1=P2=1)
で表されます.
その特性方程式
x^3−x−1=0
の唯一の実数解より,パドヴァン数列の連続する2項の比は
p=1/3{3√(27/2−3√69/2)+3√(1/2+√69/18)}=1.324718・・・
に次第に近づくことになります.pがφよりも小さいことより,パドヴァン数列はフィボナッチ数列に較べてゆっくりと増加することになります.
p^5−p^3−p^2=0
p^4−p^2−p^1=0
より
p^5−p^4−p^3−p^1=p^5−p^4−1
ですから,3次方程式p^3−p−1=0の解はこの5次方程式も満たすことがわかります.あるいは,因数分解
p^5−p^4−1=(p^3−p−1)(p^2−p+1)
でもよいのですが,このことから
Pn=Pn-1+Pn-5
の関係が成り立つこともわかります.
リュカはパドヴァン数列と同じ生成規則に従い,最初の項の値が異なるものを考案しました(1876年).
An=An-2+An-3 (A0=3,A1=0,A2=2)
3,0,2,3,2,5,5,7,10,12,17,22,29,・・・
この数列は現在ではペラン数列と呼ばれるものです.この数列の項比もpに近づきますが,さらに深遠な性質「nが素数のときAnはnで割り切れる」をもっています.しかし,逆命題「Anがnで割り切れるときnは素数である」は必ずしも成り立たないことが知られています.ただし,その最小の反例は数万の大きさなので,コンピュータでも使わなければ反証できません.
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