■ピックの公式と三角形分割(その4)
【1】カタラン数
カタラン数
{Cn}={1,2,5,14,42,132,429,1430,4862,16796,・・・}
は,凸n角形を対角線で三角形分割する仕方は何通りあるかとか,n対のかみ合い括弧の種類数などいろいろな場面で登場する数なのですが,
Cn=2nCn/(n+1)=(2n)!/n!(n+1)!,
Cn=2n+1Cn/(2n+1),
あるいは
Cn=2nCn−2nCn-1=1,2,5,14,42,・・・
と表されます.
カタラン数から一般項が何かを予想するのは難しいのですが,ここでは
Cn=2nCn/(n+1) (C0=1)
がわかっているものとして,母関数
F(t)=ΣCnt^n
を求めてみます.
この級数は,第0項:C0=1から始まるので,そのまま項比をとると
an+1xn+1/anxn=(n+1/2)(n+1)/(n+2)*4x/(n+1)
したがって,
F(x)=2F1(1/2,1,2,4x)=2/{1+(1-4x)^(1/2)}
={1-(1-4x)^(1/2)}/2x
(1-4x)^(1/2)=Σ(-4)^k1/2Ck・x^k
より
Cn=-1/2(-4)^(n+1)1/2C(n+1)
これをさらに式変形すれば,
Cn=2nCn/(n+1)
になる.この結果,二項展開を丹念に使えば
{1-(1-4x)^(1/2)}/2x=Σ2nCnx^n/(n+1)
が得られるはず・・・.
この方法は試してはいないのですが,かなり面倒そうです.実はカタラン数に対しては,漸化式
Cn=ΣCkCn-k-1=C0Cn-1+C1Cn-2+・・・+Cn-1C0
が成り立つので,母関数は
F(t)=ΣCnt^n=ΣCkt^kΣCn-k-1t^n-k+1
=F(t)・tF(t)+1
すなわち,
tF(t)^2−F(t)−1=0
なる2次方程式を満たすことが知られています.
C0=1を満足させなければならないので,複号は負号をとると,
F(t)={1-(1-4x)^(1/2)}/2x
がでてきます.
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【2】カタラン数の漸近挙動
Cn=2nCn/(n+1)=(2n)!/(n!)^2(n+1)
に対して,スターリングの漸近公式
k!=√2π・k^(k+1/2)・exp(−k)=√(2πk)・(k/e)^k
を適用すると,
Cn〜2^2n/√(nπ)(n+1)〜4^nn^(-3/2)/√π
Cn/4^nn^(-3/2)→1/√π=1.77・・・
に収束することがわかります.
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