■ピックの公式の一般化(その10)
Z^2上の格子平行四辺形が頂点以外に格子点を含まないならば,その面積は1である.格子三角形が頂点以外に格子点を含まないならば,その面積は1/2である.一般にZ^2上の格子多角形の面積は有理数である.
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【1】ピックの公式
ピックの公式(1899年)とは,任意の格子多角形の面積が以下の式で表されるというものである.
A=I+B/2−1
A:格子多角形の面積
I:内部の点の個数
B:境界線上の点の個数
すなわち,格子点平面の折れ線で囲まれた面積は(凸であれ凹であれ)格子点の数で表せるという「格子の幾何学」の美しい公式である.ピックは,ミンコフスキーの格子点定理「平面(n次元空間)上の任意の単位格子において,1つの格子点を中心として1辺の長さが2の正方形(面積4の平行四辺形,面積2^nの中心対称な凸体)を任意の向きにおいてみると,内部あるいは境界上にもうひとつの格子点が必ず存在する.」を用いて,彼の興味深い定理を証明した.
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【2】アコーピャン・田上の定理
Z^2上の格子多角形を4倍に拡大した格子多角形の内部の格子点の個数は必ず奇数である.
(証)Aは16倍,Bは4倍,したがって,ピックの公式によりIは奇数となる.
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