■アステロイドの平行曲線(その6)
トロコイドf(x,y)=0が代数曲線F(r^2,r^ncosnφ)=0になることを示されます.r=(x^2+y^2)^1/2はx,yの多項式ではありませんが,r^2とすれば多項式になります.r^ncosnφも同様です.
そこで,r^2=x^2+y^2,r^ncosnφ=(x,yのn次の同次多項式)で,具体的に書くと
D1:F(x^2+y^2,x)
D2:F(x^2+y^2,x^2)
D3:F(x^2+y^2,x(x^2−3y^2))
D4:F(x^2+y^2,x^2y^2)
と表され,代数曲線であることがおわかりいただけるでしょう.
したがって,トロコイド曲線の次数はr^2,r^ncosnφが何次の形で入っているかによって決定され,Dnの対称性をもつトロコイドの場合は最低でもn次になることがわかります.実際,x^2+y^2はcosθのn次式,x,x^2,x(x^2−3y^2),x^2y^2などはcosθの2n次式となり,トロコイドは最低でも2n次式になるのです.
しかし,出現する項がわかっていたとしても代数曲線の方程式を書き下すことはそれほど簡単なことではありません.対称性だけでなく,曲線固有の性質が次数と関係してくるのですが,次数が高くなるとcosθを消去する一般的な方法が明らかなものではなくなってしまうからです.
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【1】ハイポサイクロイドの次数
n尖点ハイポサイクロイド
x=(n−1)cosθ+cos(n−1)θ
y=(n−1)sinθ−sin(n−1)θ
において,
D0:x^2+y^2=2(n−1)cosnθ+(n−1)^2+1
とします.D0はcosθのn次式で表されることになります.
[1]n=2
x=2cosθ,y=0
D0:x^2+y^2=2cos2θ+2=4cos^2θ
D2:x^2=4cos^2θ
よりcosθを消去すると,y=0
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[2]n=3
x=2cosθ+cos2θ=2cos^2θ+2cosθ−1
y=2sinθ−sin2θ=2sinθ(1−cosθ)
D0:x^2+y^2=4cos3θ+5=16cos^3θ−12cosθ+5
D3:x(x^2−3y^2)=(2cos^2θ+2cosθ−1){(2cos^2θ+2cosθ−1)^2−12(1−cos^2θ)(1−cosθ)^2}
あるいは
x(x^2−3y^2)=x(−3(x^2+y^2)+4x^2)
として,D3を求めます.
D0はcosθの3次式,D3は6次式となりますから,代数曲線を6次
f(x,y)=(x^2+y^2+a)^2+bx(x^2−3y^2)+c=0
と仮定して,未定係数法で係数a,b,cを求めてみることにします.すると
cosθ=1 → (9+a)^2+27b+c=0
cosθ=0 → (5+a)^2+11b+c=0
cosθ=−1 → (1+a)^2−b+c=0
より,a=9,b=−8,c=−108となって
f(x,y)=(x^2+y^2+9)^2+8x(3y^2−x^2)−108=0
が得られます.
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[3]n=4
x=3cosθ+cos3θ=4cos^3θ
y=3sinθ−sin3θ=4sin^3θ
これより直ちにx^2/3+y2/3=4^2/3は求められるのですが,ここではD0,D4を用いることにします.
D0:x^2+y^2=6cos4θ+10=48cos^4θ−48cos^2θ+16=−48cos^2θsin^2θ+16
D4:x^2y^2=16^2cos^6θsin^6θ
cosθを消去すると
(x^2+y^2−16)^3+432x^2y^2=0
デルトイド同様,代数曲線を
f(x,y)=(x^2+y^2+a)^3+bx^2y^2+c=0
と仮定すると,
cosθ=1 → (16+a)^3+c=0
cosθ=1/√2 → (4+a)^3+4b+c=0
cosθ=1/2 → (7+a)^3+27/16b+c=0
より,a=−16,b=432,c=0はこの条件を満足させることがわかります.しかし,デルトイドの場合とは異なり,仮定式のように表せる保証はまったくありません.
f(x,y)=(x^2+y^2)^3+a(x^2+y^2)^2+b(x^2+y^2)+cx(x^2−3y^2)+d=0
と仮定すべきところでしょう.
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