■直観幾何学研究会2022(その37)
直観幾何学研究会2022ではGeogebraを用いた話題が多かった。また、特別講演はリーマン予想に関するものだった。
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セルバーグは負曲率空間で、閉測地線の長さl(p)を考えることによって、セルバーグは素数とリーマン多様体を結びつけた。
跡公式のひとつの原型が非コンパクト型対称空間(特に上半平面)とそれに作用する離散群に対して,1956年,セルバーグにより定式化されたものです.跡公式がその美しさを最も発揮するのが負の定曲率曲面の場合で,セルバーグが重点的に扱ったのもリーマン面上の調和解析としての跡公式でした.
R^2 H
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Δ=∂^2/∂x^2+∂^2/∂y^2 Δ=-1/y^2(∂^2/∂x^2+∂^2/∂y^2)
長方形とその面積 基本領域とその面積
ポアソンの和公式 セルバーグ跡公式
リーマンゼータ関数 セルバーグゼータ関数
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【1】数論と幾何学の相互転化
セルバーグ以来,跡公式については数多くの拡張および応用が得られています.跡公式は等スペクトル多様体の構成においても有用な役割を果たすのですが,跡公式の守備範囲はそれだけにはとどまりません.
セルバーグの仕事の中でも暗示されているように,スペクトル問題は数論と類似する構造をもっていて,ゼータ関数あるいはL関数の幾何学的類似物をラプラシアンの固有値や閉測地線の長さの分布から構成することができます.そうすれば,リーマン面のゼータ関数であるセルバーグ・ゼータ関数はリーマン予想の類似物となり,数論におけるリーマン予想は幾何学的にはラプラシアンの小さい固有値の非存在の問題になるのです.以下に,対応表を掲げておきます.
数論 幾何学
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代数体 コンパクトなリーマン多様体
素イデアル 素な閉測地線
素数定理 素な閉測地線の長さ分布の密度定理
リーマン予想 ラプラシアンの小さい固有値の非存在
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素数定理の一般化がディリクレの算術級数定理であり、さらにその一般化がチェボタレフの定理である。
オイラーはΣ1/p=無限大を証明したが、いまわかっているすべての素数を足しあわせても6以下である。(数値計算の具体例とのギャップ!)
n^2+1型素数が無限にあるかどうか(ランダウの問題)は未解決である
リーマン予想はπ(x)=Li+O(√xlogx)と同値である
双曲幾何のモデル空間(BK,P,H):Hでの測地線ds^2=(dx^2+dy^2)/y^2はケーレー変換でPに移る
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