■正多面体の正多角形断面(その256)

チェビシェフ多項式の応用について

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【2】高次元正多面体

 チェビシェフ多項式は最良近似の問題と深く関連することは述べましたが,こんなところにもチェビシェフ多項式が現れるという例をあげてみましょう.

 シュレーフリ記号(p1,p2,・・・,pn-1)で表されるn次元正多面体の基本単体を考えます.このとき

  sin^2φ=1−cos^2(π/p1)/sin^2φ1

  sin^2φ1=1−cos^2(π/p2)/sin^2φ2

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  sin^2φn-3=1−cos^2(π/pn-2)/sin^2φn-2

  sin^2φn-2=1−cos^2(π/pn-1)

 これらをまとめて連分数に書き直すと

  sin^2φ=1−cos^2(π/p1)|1−cos^2(π/p2)|・・・|1−cos^2(π/pn-2)|1−cos^2(π/pn-1)=Δ(p1,p2,・・・,pn-1)/Δ(p2,・・・,pn-1)

最後の分数の形にするには漸化式で順次作ることができます.

 ここで,ci=cos(π/pi)として,基本行列C(三重対角行列)

    [0,c1,0,・・・・・]

    [c1,0,c2,・・・・・]

  C=[0,c2,0,・・・・・]

    [・・・・・・・・・・・・]

    [・・・,cn-2,0,cn-1]

    [・・,・・・,cn-1,0]

と固有多項式Pn(λ)=det|λI−C|を作ります.これより,漸化式

  Pn+1(λ)=λPn(λ)−cn^2Pn-1(λ)  (n≧2)

  P1(λ)=λ,P2(λ)=λ^2−c1^2

を得ることができます.

 基本行列の固有値すなわちPn(λ)=0の根はすべて実単根で,隣り合う根の間に必ずPn-1(λ)=0の根があることが知られています.

 p2=・・・=pn-1=3とすると,

  Pn+1(λ)−λPn(λ)+(1/4)Pn-1(λ)=0

これに2^n+1を乗じ,2^nPn(λ)=Q(λ)とおくと

  Qn+1−λQn+(1/4)+Qn-1=0

となります.λ=cosθとおくと,

  t=cosθ±sinθ=exp(±iθ)

ですから

  Qn=Acosnθ+Bsinnθ

と書けます.

 ところで,cosnθはcosθ=λの多項式として書くことができて,第1種チェビシュフ多項式

  T0(x)=1,T1(x)=x,T2(x)=2x^2−1,T3(x)=4x^3−3x,T4(x)=8x^4−8x^2+1,・・・

また,Tn(x)=0の根はcos(kπ/2n),k=1,3,5,・・・,2n−1と表されます.

 sinの場合には番号をひとつずらせて,sin(n+1)θ/sinθを考えると,第2種チェビシュフ多項式

  U0(x)=1,U1(x)=2x,U2(x)=4x^2−1,U3(x)=8x^3−4x,U4(x)=16x^4−12x^2+1,・・・

また,Un(x)=0の根はcos(kπ/(n+1)),k=1,2,3,・・・,nと表されます.

[1]p1=4,cos^2(π/p1)=1/2の場合

  Pn(λ)=Tn(λ)/2^n-1

[2]p1=3,cos^2(π/p1)=1/4の場合

  Pn(λ)=Un(λ)/2^n

 p2=・・・=pn-1=3のとき,一般にPn(λ)はTn(λ)とUn(λ)の一次結合として書くことができます.たとえば,

[3]p1=5の場合,

  2^nPn(λ)=2τTn(λ)−(τ−1)Un(λ)

  τ=(1+√5)/2

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