■あいこの確率(その13)
[参]清史弘「数学的思考の日常」、現代数学社
ではn人でじゃんけんをすれば平均何回で終わるか?という問題を取り上げています。
そこでは、n人でじゃんけんを始めて、勝者が1人に決まるまでのじゃんけんの回数の期待値を求めているのですが、
さらに、神経衰弱が終わるまでの回数の期待値も求めているので紹介します。
===================================
n種類の数字が書かれたカードが4枚ずつあり、2枚を無作為に取り出す。
同じ数字が書かれていれば取り除き、異なる数字であれば元に戻すという操作を繰り返し、カードがなくなるまでの回数の期待値を求めるというものです。
4枚のカードがk種類、2枚のカードがl種類ある状態をA(k,l)で表します。
このとき全部で4k+2l枚のカードが残っています。,
[1]引いた2枚が異なる数字のとき、A(k,l)→A(k,l)
[2]引いた2枚が4枚ある数字の2枚なら、A(k,l)→A(k-1,l+1)
[3]引いた2枚が2枚ある数字の2枚なら、A(k,l)→A(k,l-1)
===================================
A(k,l)のとき、カードがすべてなくなるまで回数の期待値をE(k,l)とおきます。
[2]引いた2枚が4枚ある数字の2枚なら、A(k,l)→A(k-1,l+1)になる確率p(k,l)は
4k/(4k+2l)・3/(4k+2l-1)
[3]引いた2枚が2枚ある数字の2枚なら、A(k,l)→A(k,l-1)になる確率q(k,l)は
2l/(4k+2l)・1/(4k+2l-1)
[1]引いた2枚が異なる数字のとき、A(k,l)→A(k,l)になる確率r(k,l)は
r(k,l)=1-p(k,l)-q(k,l)
すると
E(k,l)=p(k,l)(1+E(k-1,l+1))+q(k,l)(1+E(k,l-1))+r(k,l)(1+E(k,l))
=6k/(6k+l)・E(k-1,l+1)+l/(6k+l)・E(k,l-1)+(2k+l)(4k+2l-1)/(6k+l)・E(k,l)
が成り立つことが分かります。1+となっているのは1回操作を行う1回分が入っているからです。
52枚のカードで神経衰弱を行う場合は
E(13,0)→E(0,0)は352.9回と求められます。
===================================