■ラグビーと円周角の定理(その6)
ラグビーではトライが決まった後,トライの位置からゴールラインに垂直な直線上にボールをおいて,キックしたボールが2本のゴールポストの間を通過するとボーナスポイントが得られる.
ゴール下へのトライであればゴールを狙うのは簡単であろうが,タッチライン近くでのトライでは,狙える角度が小さくなって,キックの成功率は低くなる.そこで,狙える角度が最大になる位置にボールをおいてキックしたい(レギオモンタヌスの問題).
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2本のゴールポストとボールを置く位置の3点を通る円の円周上であれば,円周角の定理より,狙える角度が一定である.
したがって,トライの位置からゴールラインに垂直な直線が,この円の接線になる位置にボールをおいてキックすればよいことになる.
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2本のコールポストを
A(0,y+d)
B(0,y)
ボールを置く位置を
C(x,0)
とする.また原点をO(0,0)とする.
a=∠ACBを最大にするxを求めたいのであるが,b=∠ACOとおいて,
tan(a+b)=(y+d)/x,tan(b)=y/x
また,
tan(a+b)=(tana+tanb)/(1−tanatanb)
より,
tana={tan(a+b)−tanb}/{tanbtan(a+b)+1}
={(y+d)/x−y/x}/{y(y+d)/x^2+1}
=dx/{x^2+y(y+d)}
aを最大にすることと,tanaを最大にすることが同値であるから,
(tana)’={d{x^2+y(y+d)}−2dx^2}/{x^2+y(y+d)}^2=0
y(y+d)=x^2→x={y(y+d)}^1/2
すなわち,ボールの位置xはyと(y+d)の幾何平均で与えられる.yがdに比べて小さいときはx〜yということになる.
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ゴールラインまでのボールの距離をx,2本のゴールポストの間隔をd,近い方のゴールポストまでの距離をyとする.
y(y+d)=x^2→x={y(y+d)}^1/2
すなわち,ボールの位置xはyと(y+d)の幾何平均で与えられる.
yがdに比べて小さいときはx〜yということになるが,これでは大雑把すぎる.
x={y(y+d)}^1/2=y{(1+d/y)}^1/2
〜y(1+d/2y)=y+d/2
すなわち,ボールの位置xは近い方のゴールポストまでの距離に,ゴールポストの間隔の半分を加えた距離で与えられる.x≦yでは不利なのである.
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