■シュレーフリの公式と直角三角錐(その19)

【2】シュレーフリ関数Fn(θ)

 

 シュレーフリ関数Fn(θ)は

  Fn+1(θ)=2/π∫(1/2arcsec(n),θ)Fn-1(φ)dθ

  sec2φ=sec2θ−2

  F0(θ)=1,F1(θ)=1

で再帰的に定義される関数です.

 

 二面角2θのn次元正単体を,その中心から(n−1)次元単位超球面上に射影したとき,1つの胞が占める面積は,

  sn=nvn=2πvn-2

として,

  2^(-n)n!snFn(θ)

で表されます.

 

 とくに,n=2の場合,円周上には2θの円弧が射影され,s2=2πですから,

  F2(θ)=2θ/π

n=3の場合,内角が2θ,2θ,2θの球面正三角形に射影され,その面積は6θ−π,また,s3=4πですから,

  F3(θ)=2θ/π−1/3

となります.

 

 シュレーフリ関数は二面角が直角の場合を基準としています.二面角が直角の1次元基本単体を外接円に射影すると,外接円は4等分(=2^2)されます.二面角が直角の2次元単体を外接球に射影すると,外接球は8等分(=2^3)されますから,

  2^(-n)n!snFn(π/4)=2^(-n)sn

したがって,

  Fn(π/4)=1/n!

 

 正単体の場合,θ=π/3で,超球面は(n+1)胞により分割されますから

  2^(-n)n!snFn(π/3)=sn/(n+1)

より,

  Fn(π/3)=2^n/(n+1)!

となります.

 

 また,相補性を考慮すると

  2^(-n)n!snFn(θ)+2^(-n)n!snFn(π−θ)=sn

すなわち

  Fn(θ)+Fn(π−θ)=2^n/n!

ですから,θ=π/2を代入して

  Fn(π/2)=2^(n-1)/n!

であることがわかります.

 

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  F3(1/2arccos(1/3))=arccos(1/3)/π−1/3

それに対して,F4(θ)を解析的に求めることは難しいのですが,F4(1/2arccos(1/4))の場合,公式

  Fn+1(1/2arccos(1/n))=0

を用いて,

  F5(1/2arccos(1/4))=0

 

 また,

  F5(θ)=F4(θ)-1/3F2(θ)+2/15

より,

  F4(1/2arccos(1/4))=1/3(arccos(1/4)/π-2/5)

と計算されます.

 

 F4では,特殊値

  F4(1/2arccos(1/3))=0

  F4(π-1/2arccos(1/3))=2/3

  F4(1/2arccos(1/4))=1/3(arccos(1/4)/π-2/5)

  F4(π-1/2arccos(1/4))=1/3(12/5-arccos(1/4)/π)

の他にも,

  F4(π/5)=1/900,F4(2π/5)=191/900,F4(3π/5)=409/900,F4(4π/5)=599/900

  F4(π/4)=1/24,F4(π/2)=1/3,F4(3π/4)=5/8

  F4(π/3)=2/15,F4(2π/3)=8/15

が知られています.

 

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