■シュレーフリの公式と直角三角錐(その11)

 

 ところで,オイラーはいろいろな工夫をして,

  log(sinx)=-Σcos(2nx)/n-log2

であることをつきとめ,広義積分

  ∫(0,π/2)log(sinx)dx=-π/2log2

の値を求めています.

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【4】ゼータとポリログ関数

 ζ(4)の積分表示は,ログサイン積分

  ζ(4)=17/18∫(0,π/3)θ{log(2sin(θ/2))}^2dθ

であることが得られましたが,それではζ(3)の積分表示はどうなるのでしょうか?

 

  2(arcsin(x))^2=Σ(2x)^2n/n^2(2n,n)

などの公式については,コラム「超幾何関数とゼータ関数」を参照して頂きたいのですが,x→−iyとおくと

  2(arcsinh(y))^2=Σ(-1)^(n-1)(2y)^2n/n^2(2n,n)

が得られます.

 したがって,

  Σ(-1)^(n-1)/n^3(2n,n)=4∫(0,1/2)(arcsinh(y))^2/ydy

となるのですが,右辺に部分積分を施すことで,

  Σ(-1)^(n-1)/n^3(2n,n)=-2∫(0,logφ^2)xlog(2sinh(x/2))dx

 

 このように,ログシンハー積分となるのですが,ここで,

  L3(1)=ζ(3)=5/4L3(φ^(-2))+2π^2/15logφ-2/3(logφ)^3

の結果を利用すると,

  ζ(3)=Σ(-1)^(n-1)/n^3(2n,n)

を導くことができます.

 

 以上のことより,ζ(3)の積分表示は,ログシンハー積分

  ζ(3)=10∫(0,1/2)(arcsinht)^2/tdt=10∫(0,logφ)t^2cothtdt

      =-5∫(0,logφ^2)xlog(2sinh(x/2))dx

で与えられることが理解されます.

 

 結局,ポリログ関数の理論では,ζ(2),ζ(3),ζ(4)だけが

  ζ(k)=R*Σ1/n^k(2n,n),ζ(k)=R*Σ(-1)^(n-1)/n^k(2n,n)

で表されることが確かめられているのですが,最後に,交代級数でない場合の結果

  Σ1/n^3(2n,n)=4∫(0,1/2)(arcsin(y))^2/ydy

        =-2∫(0,π/3)xlog(2sin(x/2))dx

も掲げておきます.

 

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