■シュレーフリの公式と直角三角錐(その10)

 

 ところで,オイラーはいろいろな工夫をして,

  log(sinx)=-Σcos(2nx)/n-log2

であることをつきとめ,広義積分

  ∫(0,π/2)log(sinx)dx=-π/2log2

の値を求めています.

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【4】ゼータとポリログ関数

  ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx

の∫(0,π/2)xlog(sinx)dxはログサイン積分とも呼ぶべきものですが,ここで,ポリログ関数(polylogarithm)を導入することにしましょう.

 

 ポリログ関数は

  ジログ関数:L2(x)=Σx^n/n^2=-∫(0,x)log(1-t)/tdt

  Ln+1(x)=∫(0,x)Ln(t)/tdt

で定義される関数ですが,

  トリログ関数:L3(x)=Σx^3/n^3,

  テトラログ関数:L4(x)=Σx^4/n^4,

  ペンタログ関数:L5(x)=Σx^5/n^5,

  ・・・・・・・

などを総称してポリログ関数と呼びます.

 

 特に

  Ln(1)=(-1)^(n-1)/(n-1)!∫(0,1){log(t)}^(n-1)/(1-t)dt

     =ζ(n)

より,Ln(1)はゼータ関数の特殊値となります.

 

 ポリログ関数の公式を用いると,オイラーの等式

  ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx

に相同な等式

  L3(1)=ζ(3)=5/4L3(φ^(-2))+2π^2/15logφ-2/3(logφ)^3

         φ=(1+√5)/2

を得ることができます.

 

 また,一連のログサイン積分

  ∫(0,π/3){log(2sin(θ/2))}^2dθ=17π^3/108

  ∫(0,π/3)θ(log(2sin(θ/2)))^2dθ=17π^4/6480

も得られますが,ここで,

  1/2Σ1/n^4(2n,n)=∫(0,π/3)θ{log(2sin(θ/2))}^2dθ

であることが示せれば,ポールテンの問題は達成されたことになります.

 

(証明)

  2(arcsin(x))^2=Σ(2x)^2n/n^2(2n,n)

より,

  Σ1/n^4(2n,n)=∫(0,1/2){∫(0,u)(arcsin(x))^2dx/x}du/u

ここで,右辺に部分積分を2回繰り返すことによって

  Σ1/n^4(2n,n)=2∫(0,π/3)θ{log(2sin(θ/2))}^2dθ

 

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