■フルヴィッツのフーリエ級数論(その4)
【3】等周比の一般化
3次元凸集合に対し,表面積をS,体積をVとすると
S^3≧36πV^2
が成り立ちます.等号成立は球のときだけで,すべての立体中で球が表面積に対して最大の体積をもっています.立体図形のS^3/V^2は平面図形のL^2/Aに相当していて,等周比あるいは等周定数と呼ばれます.
シャボン玉はなぜ丸くなるのか? クマやリスはなぜ丸くなって冬眠するか? などは等周不等式S^3≧36πV^2に関係していることは直感的に発想できるでしょう.本書のレベルを超えてしまうかもしれませんが,等周不等式
L^2≧4πA,S^3≧36πV^2
をどんな次元にも適用できるように公式化してみましょう.
ガンマ関数Γ(x)には,Γ(x+1)=xΓ(x)の関係があり,次のような漸化式が成り立ちます.
Γ(x+1)=xΓ(x)=x(x-1)Γ(x-1)=・・・・
したがって,xが正の整数nのときには,
Γ(n+1)=n!
が成り立ち,ガンマ関数は階乗の一般形となっていることがわかります.階乗の解析的補間をしている関数がガンマ関数なのですが,
Γ(1)=1,Γ(1/2)=√π
であることを知っていればたいてい間に合います
また,球に相当するn次元の図形を超球と呼びます.n次元単位超球{x1^2+x2^2+・・・+xn^2≦1}の体積をVnとすると,V1=2(直径),V2=π(面積),V3=4π/3(体積)はご存知でしょう.n次元超球の体積は
Vn=π^(n/2)/Γ(n/2+1)
で与えられます.1次元から6次元までを具体的に書けば,
Vn=2,π,4π/3,π2/2,8π2/15,π3/6
という具合に,πのべき乗は偶数次元になるたびに1つあがります.
単位超球の表面積Sn-1はnVn,半径rのn次元球の体積はVnr^n,表面積はnVnr^n-1となります.等周比を無次元化するために,
n次元等周比=表面積^n/体積^(n-1)
と定義すると,
n次元等周比≧n^nVn=n^nπ^(n/2)/Γ(n/2+1)(=Cn)
を得ることができます.等号は超球のときに限ります.
ともあれ,n=2のときとn=3のときについては,
C2=4π
C3=36π
になることがわかります.以下,
C4=2^7π^2
C5=8/3*5^4π^2
C6=6^5π^3
となります.
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