■和算に挑戦(その3)

シュタイナーの不定命題

小円を大円の内部におき,この2つの円の中間に次々に接する円列を作る.たいていの場合,最後の円は重なってしまい,この円列は互いに接する円環をなさない.しかしときとして完全な円環をなす場合がある.このとき,最初の円をどこに選ぼうとも完全な円環をなす.

に似て非なるものとして

ポンスレーの不定命題

がある。

小円を大円の内部におく.大円上の点P0から小円へ接線を引き,大円と交わる点をP1とする.P1から再び小円へ接線を引き,大円と交わる点をP2とする.この2つの円の中間に次々に接する接線列を作る.たいていの場合,最後の交点は最初の点P0と重ならない.しかしときとして完全に重なる場合がある.このとき,最初の点P0をどこに選ぼうとも完全な多角形環をなす.

すなわち

最後の点が最初の点とうまく一致するならば、最初の点をどこから始めたとしても接線多角形は閉じる

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シュタイナーの定理とポンスレーの定理、2つの定理に共通する特徴は2つの円が同心円ならば自明であるということである.円鎖が閉じるか、接線多角形が閉じるかの違いだけで、内容的には類似した定理に感じられる。しかし、シュタイナーの定理はメビウス変換により同心円の場合に帰着させて証明できるのに対して,ポンスレーの定理ではそれができない.その意味で 2つの定理は似て非なるものである。

シュタイナーの定理の基底は2次式であったが、ポンスレーの定理では高次式になる。その意味で、後者のほうが本質的に難問である。

ポンスレーの不定命題の証明は楕円積分による。一方、シュタイナーの不定命題の証明は1次分数変換による。

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三角形の場合

外接円の半径:R

内接円の半径:r

外接円と内接円の中心間距離:d

とおく

任意の三角形は外心・内心をもつ。2心間の距離について、2次同次式:R^2-2Rr=d^2が成り立つ(オイラー)。

オイラーの関係式を導き出すことは見かけより厄介であるが、ポンスレーの不定命題を使えば簡単にオイラーの関係式を導き出せる。オイラーの関係式を導き出せば、正三角形でない場合、直ちにR ≧ 2rがわかる。

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