■もう一人の巨匠(その1)
20世紀に数学や科学から導かれた概念を作品の中心に据えて描いた芸術家の双璧といえばスペインのダリとオランダのエッシャーであろう。
ダリもエッシャーも製作に際し、優れた数学者や科学者と密接に協力し、理解しにくい数学的概念を芸術を通じて把握する方法を人々に提供した。
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ニューヨークのメトロポリタン美術館には画家サルバトール・ダリが1954年に描きあげた「磔刑(超立方体的人体)」がかかっている。
8個の立方体をつなげて作られた十字架にキリスト磔刑像の印象的な作品であるが、この絵画とタイトルを理解するにはヒントンによる第四の次元を知る必要がある。
ヒントンは第四の次元を視覚化することに夢中になっていて、立方体を展開すると正方形が6つできるように,そこからの類推で、四次元の超立方体を展開すると立方体が8つできること、それを3次元に展開するとどう見えるかを明らかにした。
画家サルバトール・ダリが1954年に描きあげた「磔刑(超立方体的人体)」では,古典的なキリストの磔刑図と展開した正8胞体を組み合わせることで,3次元世界と4次元世界を同時に描こうとしている.
ダリの妻ガラが前方から見上げるマグダラのマリアとして描かれている。
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