■タイル曼陀羅(その5)

タイルは、古代ローマ時代から床や天井、壁の装飾に用いられてきた。

近現代ではオランダのエッシャーによって、繰り返し模様の数学が芸術に取り入れられ、注目された。

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[1]平面充填

エッシャーは20代でスペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿の精緻な装飾的デザインに魅了さた。その経験は彼のインスピレーションの源になり、その後の彼の代表作に見られる特徴的な表現に結実した。

ポリアらの論文を読んで、結晶構造における対称性の重要性を知ったかれは独自の幾何学的格子を用いて、多角形ではなく鳥や魚や爬虫類の入り組んだ形をはめ合わせることによって平面充填した。

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[2]双曲平面充填

エッシャーは数学者コクセターの助言を受け、双曲幾何学「距離感の異なる世界」のタイリングを円の極限シリーズとして作品化している。

コクセターがポアンカレ円板上に描いた三角形を見て、エッシャーは有限な平面上で無限を表現する方法に気づいた。その結果生まれたのが、白い天使と黒い悪魔が双曲平面を埋める作品「天国と地獄」である。

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