■ペリトロコイドから掛谷の問題へ(その3)

1917年,掛谷宗一は「長さが1である線分を1回転させるのに必要な最小面積の図形は何か」という問題(掛谷の問題)を提出しました.この問題は多くの予想を生み出しました.

図形(面積)

半円π/2

円π/4

ルーローの三角形(π-√3 )/2

半アステロイド3π/16

正三角形1/√3

デルトイドπ/8

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掛谷自身,π/8が最小値であると予想しましたし,多くの数学者も答はデルトイドではないかと予想していました.

ところが驚いたことに,1927年,ベシコヴィッチによって「前後を方向転換できるいくらでも面積の小さい図形を作ることができる」ことが証明されたのです.

ハンドルを細かく切り返すジグザグ運動を続けることで,1kmの長さの針でも,切手1枚分の面積の図形の中で頭と尻尾を逆に方向転換できるというのですから,ベシコヴィッチの証明は直観に反しています.

常識ではとても受け入れられものではありませんが,多くの数学者にとっても予想が裏切られる結果になりましたから,その驚きはいかに大きかったであろうかと推察されます.

ペロンの木

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