■無理数の黒歴史(その1)
数の世界は,自然数から負の数へ,有理数から無理数へ,実数から複素数へと拡大してきました.如何にしてその数が発見されたのか,あるいは,数の概念を拡張するのにどれだけ長くかかったかなどは大変興味深いテーマです.
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【1】無理数の発見(ピタゴラス)
ピタゴラス数は
x^2+y^2=z^2
を満たす自然数の三つ組み(x,y,z)のことです.幾何学的には直角三角形の斜辺の長さの2乗は他の2辺の長さの2乗の和に等しいことをいっていて,これを満たす三つ組み(x,y,z)は無限にありますが,最初の1組は(3,4,5)になります.3辺の長さの比が3:4:5の直角三角形は代表的かつ最小のピタゴラス三角形ですから,ピタゴラス三角形の大家族の元祖という意味で,エジプト三角形と呼ばれることもあります.ほかに(5,12,13),(7,24,25),(29,420,421)など
直角二等辺三角形(1,1,a)では
a^2=1+1=2
が成り立ちます.2の平方根は代数方程式a^2=2を満たす正の数ですが,aは1よりも大きく,2よりも小さいので,分数になるとすると
(7/5)^2=1.96
(707/500)^2=1.999396
(7072/5000)^2=2.00052736
ところが,2乗して2になる分数は存在しないのです.
√2〜1.14142・・・
√2〜1.141421356・・・
√2〜1.141421356237・・・
√2〜1.414213562373095・・・
と数字は無限につづき,さらに
3/7=0.428571428571428571・・・
(循環節:428571)のような巡回性もありません.
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