■絶対収束と条件収束(その3)
【5】絶対収束と条件収束(2)
定理(1):絶対収束級数は項の順序をどのように変えても絶対収束し,和も変わらない.(ディリクレ)
定理(2):条件収束級数は項の順序を適当に変えれば,指定された値(±∞でもよい)を和にもつようにも,振動するようにもできる.(リーマン)
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絶対収束級数は項をどう並び替えても同じ値に収束する.すなわち,有限和のように振る舞い,加法の交換法則は保持されるのである.それに対して,後者はリーマンの再配列定理(リーマンの級数定理)と呼ばれるものである.有限の和ではこのようなことは絶対に起こらないが,無限の和では加法の交換法則が成り立たないような,想像もつかない奇妙なことが起こるのである.交代調和級数が条件収束するということは,逆にいえば,絶対収束しないことを意味している.
1/1+1/2+1/3+1/4+・・・→ +∞
このような級数は項を並び替えれば,好みの実数に収束させることができるというのがリーマンの再配列定理であって,われわれの直観に反する衝撃的な結果をもたらした.
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グレゴリー・ライプニッツ級数
1/1−1/3+1/5−1/7+1/9−1/11+・・・
も交代級数であり,収束してその値はπ/4になりますが,正の項だけを集めて作った級数
1/1+1/5+1/9+1/13+・・・
は収束せず無限大に発散します.
1/1+1/5+1/9+1/13+・・・
>1/4+1/8+1/12+1/16+・・・
=1/4(1/1+1/2+1/3+1/4+・・・)→∞
より発散は明らかです.負の項だけを集めても同様です.したがって,級数の和の順番は変えてはなりません.
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