■数の幾何学(その34)

【2】ミンコフスキーの格子点定理

 ここではミンコフスキーの定理を一般的な形で述べることはせず,正方格子の場合について,「正方格子のひとつの格子点を中心として1辺の長さ2の正方形を任意の向きにおいてみると,この正方形の内部または境界上にもうひとつの格子点が必ず存在する」ことをガウスの円問題と同様に定式化する.

 格子点に長さsの正方形をおくと,正方形で覆われた部分の面積はs^2R(r),また,これらの正方形はすべて半径r+2sの円の内部に落ちるから,

  s^2R(r)≦π(r+2s)^2

  s^2≦πr^2(1+2s/r)^2/R(r)

 この不等式においてsを固定しておき,r→∞とすると右辺→1.こうしてs≦1が得られる.

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【3】一般の格子に対するミンコフスキーの格子点定理

 n本のベクトルで張られる平行2n面体の体積

  {λ1x1+λ2x2+・・・+λnxn:0≦λi≦1}

について述べておきます.

 写像:y=Axによって,単位直方体は平行2n面体に写像されるものとすると,この写像のヤコビアンはJ=|A|となります.また,グラミアン

  G=|A|^2

が成立しますから,平行2n面体のn次元体積は

  |G|^(1/2)=|A|

で与えられます.

 したがって,Λを体積Δをもつ格子とすると

ミンコフスキーの定理から,

  (中心対称凸体の体積)>2^nΔ

ならば,内部あるいは境界上に格子点が必ず存在することになります.

 単位球の体積:B^n=π^n/2/Γ(n/2+1),x1^2+・・・+xn^2≦λ^2の体積はλ^nB^nですから,与えられた判別式をもつn元2次形式の最小値に対する上界Mが

  M<An|A|^1/n   (An=4(Γ(n/2+1))^2/n/π)

で与えられることが証明されます.この結果はエルミートのものより精密です.

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