■約数関数のおおまかな上界と下界(その13)
約数の和関数をσ(n)、オイラーのトーシェント関数をφ(n)とするとき、
ζ(s)ζ(s-1)=Σσ(n)/n^s
ζ(s-1)/ζ(s)=Σφ(n)/n^s
が成り立つ。
また、約数の和関数σ(n)について
σ(n)<exp(γ)nlnlnnがn>5040のすべてのnについて成り立つこととリーマン予想が真であることは同値である。
これらのことから、σ(n)、φ(n)のおおまかな上界と下界を求めることは意味があることであると考えられる。
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ζ(s)の零点がs=1/2に乗っているという仮定の下に
π(x)=li(x)+O(x^1/2lnx)
がコッホ同値条件(1901年)である.
もう少し精緻化すると,2657以上のすべてのxについて,
|π(x)−Li(x)|≦C・x^1/2logx
C=1/8π
が成り立つことと論理的に同等です.
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約数の個数関数d(k)の平均値の漸近挙動について,ディリクレは
1/nΣd(k)〜ln(n)-2γ+1
を示しました.
1/25Σd(k)=3.48 → ディリクレの評価はln(25)-2γ+1=3.37
1/50Σd(k)=4.14 → ディリクレの評価はln(50)-2γ+1=4.07
1/100Σd(k)=4.82 → ディリクレの評価はln(100)-2γ+1=4.76
d(n)でnの約数の個数を表せば,
D(n)=Σd(n)+xlnx+(2γ−1)+Δ(x)
ディリクレ自身の誤差評価はΔ(x)=O(x^1/2)であったが,ボロノイの結果は
Δ(x)=O(x^1/3lnx)
で,ディリクレの評価を本質的の凌駕するものであった.
現在知られている最良の評価はハクスリーによるもので,
Δ(x)=O(x^23/73ln^461/146x)
で,ボロノイの結果から
1/3−23/73==4/219=0.01826・・・
すなわち6%にも達していない.
なお,ハーディーによって,
Δ(x)=O(x^θ),θ≧1/4
であろうと予想されている.
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